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そもそも「障害」とはなんでしょうか

今回はそもそも「障害」とは何かというテーマでお送りします。

医者の考える「障害」、両親、家族の考える「障害」、そして法令で定められている「障害」。障害年金ではどの「障害」が求められているのかお伝えします。

目次

  • 障害年金の受給率は低い
  • 障害年金で審査される「障害」とは何か。
  • 医者の考える「障害」、本人、ご家族の考える「障害」とは?
  • まとめ

1. 障害年金の受給率は低い

 

障害者総数(万人) (※1)

障害年金受給者(万人)(※2)

受給率(%)

身体障害

436.0

89.1

20.4

知的障害

108.0

45.1

41.7

精神障害

419.3

60.1

14.3

合計

963.5

194.3

20.1

出典:厚生労働省 平成30年版「障害者白書」(※1)、平成30年 年金機構「主要統計」、平成26年 年金基本統計調査(障害年金受給者数(※2)

 

上記の表は、障害年金の受給者数と受給率を表わしています。障害者の総数は、いわゆる障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳取得者の合計)をお持ちの方の総数を表しています。受給者数は、障害年金(国民年金と厚生年金併給者は1名でカウント。)の受給者数をあらわしています。

 障害年金は、受給開始から65歳以降までほとんどの方が受給し続ける傾向が高い給付です。特徴として80.2%が基礎年金のみの受給者となっており、65歳以降の老齢年金との年金選択が少ない特徴があります。これは、障害によって、就労制限があり、保険料納付月数が少ないなどの理由があり、老齢年金金額が障害年金金額を下回るケースが多い為と考えられています。また、年齢階層別の障害年金受給率は、20歳以降上昇し、65歳~70未満が最も高くなっている事からも、65歳で老齢年金に選択替えする人が少ないことがわかります。 

つまり、65歳以降もほとんどの受給権者が、障害年金受給をしており全年齢を通じて障害年金は受給率が約2割と低く、無年金者割合が約8割。障害者にとって稼得能力低下に対し、ほとんど機能していない年金制度とも言えます。

2. 障害年金で審査される「障害」とは何か?

 通則法である、障害者基本法 第2条に国内法すべてに適用される「障害」の定義が定められています。国民年金法・厚生年金法で定める「障害年金」で審査される「障害」も同じ内容となります。

 

障害者基本法

第二条

 

(定義)

 

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 

第一号

障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 

第二号

社会的障壁障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

 

つまり、障害年金において審査される「障害」とは 「心身の機能障害+社会的障壁」を表しています。

3. 医師の考える「障害」とは

 医師は、医療を提供する職業です。医療者として現在、知りえる最善又は最良の医療水準で治療を行う事が仕事です。もう少し具体的に言い換えると、身体、精神における「機能障害」、「能力障害」について治療を行い、悪化を防ぎ、固定化する又は従前の機能回復、能力回復を目指すことが仕事です。

医師の仕事には、社会保障的事項は含まれていません。医学部のシラバスにも、研修医教育課程にも社会医学的な総論に触れる機会は多少ある程度です。

 つまり、「障害年金」で審査すべき法令上の「障害」概念と、医師という職業領域で扱う障害異なっていることがわかります。

4. まとめ

 前段での「障害年金の受給率の低さ」は、様々な要因からの結果であります。そして、最も大きな要因の一つが、「障害年金用の診断書」が適切に作成されていない事です。真正な内容で作成されづらい大きな要因はを3つにまとめると下記の通りとなります。

 

  • ①医師の職業領域では、社会保障が含まれていない。
  • ②医師が「社会保障(障害年金に関する法令等)」について学ぶ機会が無い事
  • ③実態として、年間約150枚程度の診断書を約8年間にわたり内容確認を行った結果。法令で定める障害概念「社会的障壁」について正確に記載されている診断書が1割程度しかない事。

このような「法令で定める障害」と「医療分野の障害」のズレを橋渡ししてゆく事が社会保険労務の仕事であると考えています。社労士は、医師の作成する「診断書」にまで関与すべきでないと考える方々もいらっしゃいます。しかし、社労士法には、「故意に、真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理」を行ってはならないと定められており、これに違反すると懲戒処分となります。明らかに、法令で定める障害状態があることを確認しながら、間違った障害状態が記載された「診断書」を基に申請を行う事はできません。これは、社会保険労務士が国家資格を与えられ、専門家としての使命を全うするためでもあります。

さらには、一国民として「障害者の社会保障権」をないがしろにすることもできないと考えていからです。もちろん、私たちが活動してきた新潟県エリアの多くの医師の方々が、当センターが行う「法令、認定基準、記載要領」の説明を真摯に受け止めてくださっています。その結果、適切な診断書作成にご協力いただけるようになってきています。

この社会保険労務士の活動が、全国の医療機関に伝わり、「障害者が無年金とならない社会」、「障害者が社会で活き活きと共生できる社会つくり」に貢献できることを切に希望しております。

 

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