ニュースレター Vol.4
受給事例紹介
【障害厚生年金2級取得、子の加算、2年間の遡及合計額で324万円受給決定した事例】
1.相談に来られた時の状況
5年程前から強い胸痛に悩まされており、相談に来られた時は、1日の半分以上は就床していなければならない状態でした。今まで様々な病院で検査を行うも異常が見つからず、数年前にようやく病名が判明したとのことでした。
定期的に起きる胸痛とその後の倦怠感によりお仕事を続けることが不可能であった為、当時の担当医に障害年金の相談をしたところ、「診断書は書けない」と断られてしまったそうです。このままではとても生活していくことができない、と当センターにご連絡頂きました。
2.経過
胸痛が起きる以前に、緊急搬送される程の強いこむら返りが頻繁に発生していました。
こむら返りは狭心症の前駆症状であるとして、まずはこむら返りで緊急搬送された時点を初診日として申請しました。
しかし、審査の過程で「前駆症状ではない」と判断された為、初診日を初めて胸痛が起こった時点とし、書類を修正して再度提出しました。
心電図等の検査成績は良く、心疾患としては障害等級に該当していない状態でした。しかし、医師に日常生活の状況を事こまかにお伝えし、数値だけではなく、生活状況についても診断書に正確に記載して頂きました。(裏面に資料の一部を載せてあります。)
3. 結果
障害基礎年金2級の受給が決定しました。子の加算、約2年間の遡及分約324万円が一括で振り込まれました。
Q&A
Q.障害年金を受給することで、将来もらえる老齢年金の金額が減額されてしまうことはありますか?
A.障害基礎年金・障害厚生年金ともに、1・2級に該当した場合には、国民年金保険料が法定免除されます。老齢年金を計算する際には、免除されていた期間分、老齢基礎年金の額は少なくなります。
ただし、「老齢年金の受給権が発生した後も障害年金を貰い続ける」ということであれば、これは関係ないお話です。関係があるのは、障害年金を受給した後で障害が軽くなる可能性がある方です。
症状が軽快し、障害年金が停止になった場合、老齢年金の受給権発生後は、老齢年金を受給することになります。その場合、障害年金の受給によって国民年金保険料が免除されていた期間については、減額されますので注意が必要です。
豆知識
障害年金の診断書について
障害年金の診断書は、医学的診断書ではなく、社会医学的な診断書です。診断書を作成して頂く目的は、治療ではなく、生活保証のためです。
国民年金法・厚生年金法で定める障害年金の認定要領では、「日常生活能力等の判定にあたっては、身体的機能及び精神的機能、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める」と書かれています。
社会的適応性とは、必要最小限の適応性なのか、成人した普通の人を標準とした適応性なのかでは非常に大きな差があります。
正解は、「成人した普通の人の普通の生活」を基準に、社会的適応性がどの程度乖離しているかという点で判断をする、ということです。従って、「同じような障害を持っている患者と比較して」や、「以前診断書を書いた別の患者と比較して」という前提で書かれた診断書は、誤りということになります。
診断書を作成する際は、「社会的な適応性の程度」について何を基準に判断するのか、医師に正しく理解して頂く必要があります。
(参考資料)
※この資料は、診断書作成依頼の際、医師お渡しした資料の一部です。検査成績では異常値が出ていないのですが、相談者の方には、日常生活にこれだけの障害状態がありました。これらを医師に十分にお伝えし、理解していただき診断書に記載していただけました。日常生活での障害状態が十分に記載頂けなければ受給はできなかったケースです。
平成〇年〇月〇日
〇〇病院
〇〇 先生
日常生活の状態
・就寝してから1時間後、夜中2時、朝方5時と決まった時間帯に胸痛で目が覚め、
一晩中胸痛に襲われ起きた時には、全身の倦怠感の為家事がほとんどできません。
・朝起きても、胸痛に襲われる為包丁が握れずお味噌汁を作るだけでも30分以上かかります。洗濯、掃除、買い物は胸痛、動悸、呼吸困難に襲われる為できない状態です。それ以外は就床している事も多いです。
・トイレへは、20歩位で行けますがゆっくりしか歩けないため時間がかかり、日常生活にとても不便があります。排尿、排便後は胸痛、動悸に襲われます。尿量はとても少量です。
・特に午前中は全身の倦怠感があり、朝食はゆっくりでないと食べられません、1時間以上かかるようですと食事を諦めることが多く、その為この半年で体重が10キロ以上減りました。食後は胸痛、動悸がおきるので30分以上は動くことができません。
・就床時、座時、でも胸痛、動悸、呼吸困難、不整脈が起き家事が出来ず日常生活のほとんどに支障があります。
・立って何かをしようとすると胸痛に襲われ、すぐに就床せざるをえません。
・歩くスピードは他の人の半分で、特に階段は胸痛が起こらないようゆっくりでないと上り下り出来ません。
・冬場は部屋をどんなに暖かくしていても、寒波の来る日は胸痛、動悸、呼吸困難に襲われるのでニトロを服用しています。いつ胸痛、動悸、呼吸困難に襲われるかと思いながらの日常生活の為、非常に制限されます。
・夏場はクーラーの無いところでは、胸痛、動悸、息切れ、呼吸困難になり、入浴も朝の涼しい時に窓を開けて、シャワーを浴びる事しかできません。シャワーは毎日は浴びる事は困難です。
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