回避性パーソナリティ障害、他の特定される抑うつ障害 障害基礎年金2級:年額¥780,900
1.相談に来られた状況
大学生の就職活動時に、自分に自信がなく、アピールするのが苦手と感じていました。面接を重ねるたびに、恐怖が大きくなり就職活動はできなくなりました。病院を受診し、適応障害と診断されました。
休学をはさんで何とか大学を卒業しましたが、実家に戻っても不安や気分の落ち込み、不眠や対人緊張は続き、精神科に入院もされました。自分への自信のなさからオーバードーズや自傷行為も行い、現在は、ほぼ家のベッドに寝たきりの状態でした。表情は乏しく、食事もお母様がベッドに運んでいるとのことで、困ったご家族からご相談を受けました。
2.経過
初診日は学生時代で、納付猶予の申請をしていらっしゃることが確認できました。精神障害者手帳2級をお持ちとのことで、取得時の診断書を確認させていただくことにしました。
診断書の主たる傷病名に「回避性パーソナリティ障害」、従たる診断名に「他の特定される抑うつ障害」と記載があり、回避性パーソナリティ障害は人格障害のため、認定の対象外であることをお伝えしました。
お聞きした話から、毎日トイレと入浴以外は自室のベッドに横になっているとのことで、医師に日常生活について伝え切れてないのでは、と判断しました。日常生活で不便に感じていることを法令基準に照らし合わせて障害状態をまとめ、医師に情報提供し、診断書を作成していただきました。内容は、常時母の支援を要すること、労働能力はないとの記載があり年金スケールに沿った内容の仕上がりでした。診断名も他の特定される抑うつ障害と、認定対象の傷病が記載されていました。申請に必要な書類を添付し、障害基礎年金の事後重症請求をしました。
3.結果
障害基礎年金、事後重症請求で支給が認められ2級 年額¥780,900受給ができました。
4.ポイント
回避性パーソナリティ障害のような「神経症」は認定基準では、障害年金の対象外とされています。
しかし、障害年金制度は法令で「障害によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって阻止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする」ものとして定められています。
現場作業基準(目安)としての認定基準も大切ですが、あくまで切り分けのための基準です。法の立法主旨や背景など、マクロな視点で障害年金の対象となる方かどうか、障害状態をどう証明していくべきか考えることが重要です。
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