肺がん 障害厚生年金3級(遡及分含む):約¥1,900,000
新潟市・40代・男性(肺癌)
1.相談に来られた状況
2年前にステージ4の肺がんと診断され、抗がん剤治療を受けながら職場の配慮を受けながら仕事を続けていらっしゃいました。しかし、副作用により強い倦怠感や吐き気、10kgの体重減少などがあり、日常生活にも支障が出ていました。家族の生活も支えられていたため、将来に不安を感じて相談されました。
2.経過
面談で、認定日時点も現在も重い症状があることを確認しました。就労継続は特別な配慮によるもので、症状は深刻でした。副作用や痛み、倦怠感などの詳細を丁寧に聞き取り、法的基準に沿って診断書の作成を医師に依頼しました。診断書は障害認定基準に適合した内容で完成しました。申立書作成中に体調悪化で退職され、その経緯も申請書類中へ詳細に反映しました。
3.結果
認定日と現症日ともに障害厚生年金3級と認定され、約190万円を受給できました。
【社労士の視点】がんによる障害年金申請の注意点
- 医師の誤解による不利益
医師が「抗がん剤の副作用では受給できない」「仕事を辞めないともらえない」など誤った理解をしていることがあります。実際は、就労中でも、副作用が強くても、生活に制限があれば受給可能です。 - 診断書の質が不十分なことがある
特に外科医が担当医(診断書作成する)となった場合、納品された診断書が低品質(法令基準からスケールずれ)な場合が散見されます。なぜ外科医が担当医となるのかは不明ですが、がん治療のファーストタッチが外科医であり、その後に治療が引き継がれる為であろうと推測します。いずれにしても外科医の作成した診断書は、患者の日常生活や生活制限など具体的情報が不足している場合が多く障害年金審査が求めるものとなっていないケースが多いです。真正な内容にするためには再確認、加筆・修正が必要となる場合が多く時間を要すしま診断書の質を上げるため、加筆や修正を求める必要があります。 - 診断書の作成に時間がかかる
がんの種類により進行が早いケースも多く、準備が遅れると受給に間に合わないことも。早めの相談と準備が大切です。
がんの障害年金申請をお考えであれば、早めにご相談していただくことが一番大切であるように思います。がんの場合は特に担当医、医療機関の体制、診断書を誰に作成していただくのかな等も含めて申請ストーリーを考えてゆく必要があるからです。お医者様は神様ではありません、患者様とサポートする我々専門家が法令や正しい障害認定の考え方を伝えてゆく努力が必要なのです。