双極性感情障害 障害基礎年金2級:年額¥1,491,000
新潟市・50代・男性
1.相談に来られた状況
職場のストレスが原因で、不眠や不安感が大きくなり、日常生活を行うことが困難になってしまったそうです。ある朝、体が動かない、動かせなくなり、言動がおかしくなる等の症状が現れ、医師の診断を受けたそうです。
通院中も感情のコントロールが効かず、不眠や体の震えが続きました。このような障害状態になり、長年勤めていた会社を退職し、経済的に困窮して家も売り払うことになりました。
たまたま、当センターの記事を読み、障害年金の相談にいらっしゃったそうです。
収入が絶たれて困窮しても、だれも、障害年金とういう制度がある事すら教えてくれなかったそうです。
2.経過
認定日請求(本来請求)で申請を検討して進めました。そこで問題となったのが、認定日、申請日(現在)時点ともに、2つの病院を受診されていらっしゃった事です。
一つは、かかりつけの病院、もう一つは入院されている病院です。どちらに診断書作成をして頂くべきかを決める必要があります。
まずは、入院するとおうことは、より重篤な病状、障害状態である事で行われたはずであると考え、入院先のN大学病院に診断書依頼をお願いする方針で進めました。
しかし、N大学病院医事課よりの電話があり、下記の内容でした。
- 「書けないわけではないが、当院はあくまでも入院対応のみ、日常生活状況等の把握はしていい。」
- 医師が
- 「障害年金をもらうと、患者が怠ける。病気の治りが悪くなるはず。だから書きたくない。」
- と言っている。
- 「医師が仮に書いたとしても、先生が忙しいので、一カ月以上はかかります。」
- との電話内容でした。
入手したカルテ等診療情報等を精査すると、入院されているN大学病院は3ヶ月での入退院を頻繁に行っている。
その割に、障害年金の診断書に記載する必要のある、「患者の日常生活状態、日常生活障害」など必要な情報量が少ないことを確認しました。
また医師の発言から、障害年金に対する理解度が極めて低く、年金法についても無知であることを容易に推測できました。
このまま診断書作成を進めても、「正しい障害状態を証明するための診断書」が作成できないと判断し、N大学病院での診断書作成は中止しました。
一方、かかりつけ医院の診療情報等を精査すると、当センターがご本人様からヒアリングした、日常生活当の障害状態を証明するための情報がかなり詳細に記入されていましたので、かかりつけ医に診断書作成を依頼し、認定日及び、現症の診断書の作成を行い、無事申請へと進めることができました。
3.結果
申請時に額改定請求も同時に提出。
結果、3級、71万8,200円の受給決定、額改定により2級、149万1,000円の受給認められました。
4.【社労士齋藤の見解!】
多くの相談者の方は、複数の医療機関を受診していらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。最初は、近所のお医者さん、次に規模の大きな病院、次は●●大学病院、相性が悪いから転院などという具合にドクターショッピングしてしまう事もあります。
障害年金は、年金法にもとづき、法律要件を満たしている事を、証明する事が重要なポイントになります。つまり、事実として「障害状態」にあっても、証明できなければ受給できないのです。
このように申請者が立証責任を負っているわけです。この自らの「障害状態を証明する」観点から考えると、病院の大きい、小さいはあまり関係がありません。一言で申し上げますと、「よいお医者さん、優秀な医師」に会えるかどうかが重要になってきます。
当センターでは、相談者の方から、毎回のように「良い病院、良いお医者さんを教えてください。」と言われます。
私の考える「よい病院、よいお医さんは」次の3つの要件を満たしていることだと思います。
- ①きちんと患者の病気を治せる
- ②きちんと患者を診ている・見ている
- ③社会人としてのマナー、ルールを守れる
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①「きちんと患者の病気を治せる」
医師は病気を治す専門家です。病気ごとの治癒率や、手術数、5年後生存率などのデータからその実力が推測できるのではないでしょうか。 病気を治せないという事は能力不足である事を表す一つの指標であります。
当センターでは、年間約500件の相談者の方から、「病院情報アンケート」を頂くようにしています。医師がきちんと話を聞いてくれるか、話ができるか、診察時間、インフォームドコンセント(IC)は行われているか、医療機関、医師への不満などの項目です。
このアンケートから、患者さんは、医師に対して「病気は診るが、患者は見ない」とい不満を持っていらっしゃる方が多いように感じます。
②「きちんと患者を診ている・見ている」
「患者診察の私が同行した事が有ります。その際、医師から「患者の日常性生活など聞いたことも、見た事もないから(診断書に)書けない。分からないものは書かない。私は、医者だから、病気は診るけど、患者は見ないよ」と公言されました。
今回の例ですが、「5年以上無職、無収入。」患者の自宅売却等を行い、ようやく治療を続けている患者に「障害年金をもらうと、患者が怠ける。病気の治りが悪くなる。」という医師の発言は、あまりにも合理性にかけるのではないかと感じます。今回のN大学病院医師の発言、無知、傲慢さについて、こころから反省していただきたいと感じます。また、憲法に定める生存権を背景とした、社会保障制度である「障害年金制度」をあまりにも軽んじた発言にあきれてしまいます。
もちろん大学病院勤務医の年収位の、障害年金が受給出来るのであれば、「怠ける」こともできるのかもしれません。しかし、障害者の98%が年収200万円以下、そのうちの6割が年収100万円以下という実態からも障害者の方は、経済的に非常に困窮している事を認識していただきたいと思います。
また障害年金の金額は、人によって違いますが、それだけで余裕のある自立した生活ができる金額ではありません。あくまで、障害年金を基礎に、自分に合わせた労働でようやく自立できる程度です。人として、生きる選択肢を与えてくれる為のものです。
今回の、年金法、立法趣旨、障害者の生活実態や世の中の常識を知らない者が、障害年金の重要な鍵を担っていることに恐怖を感じました。
③「社会人としてのマナー、ルールを守れる」
最後に、「社会人としてのマナー、ルールを守れる」です。一般社会では、当り前の事が、医療機関では通用しない事が多々あります。病院内では、医師を頂点に医療カースト制度のようなヒエラルキーがあり、医療関係者は、病院という閉塞した村の中でしか通用しない行動をとられることがあります。しかし、その対極にある医療機関も存在しています。そのような優秀な医療機関では、医師も挨拶をする、丁寧な言葉使いをする、約束を守るなどの特徴が見られます。
一般社会では、新人であっても挨拶、ビジネスマナー、敬語、丁寧語は必須事項です。これが出来なければ、人間性に問題があるものとみなされます。さらには、約束は守る。間違ったら謝る。など小学生でも知っている事が通用しない事もあります。
優秀な医師ほど、他の専門家の意見をよく聞いてくれるように思います。もちろん言葉使いも丁寧な方が多いです。こういう医師が居らっしゃる医療機関は、事務方まで丁寧で親切、約束を守っていただけます。今回の事例に出てくるような、不見識な医師の在籍している医療機関は、事務方まで不思議なくらい、不見識でぞんざいな対応である事が多いと感じます。
当センターでは、私どもが障害年金申請に関して、各医療機関の対応(年金制度、年金法についての理解度、患者に対するサービスレベル、診断書作成の早さ、診断書の内容の正確さなど)、についての情報をお伝えする事も必要であると考えています。
現在、データを公開できるようの準備中ですのでお待ちください。
また、誤解のないように申しあげますが、多くの医療機関の医師、看護師、コメディカルの方々は、非常に優秀な方々が揃っていらっしゃいます。今回の医師のような「困ったちゃん」ばかりでない事を理解ください。また、私の見解は、特定の団体、個人を誹謗中傷する目的のものではありません。障害年金申請の参考事例に対する見解となりますことをご理解ください。
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