広汎性発達障害で障害基礎年金1級を受給できたケース

新潟市・20代・女性

1.相談に来られた状況

発達障害の娘(25歳)の行く末を心配されたお父様がご相談にいらっしゃいました。娘さんは、小、中、高校と普通学級に通学されていたそうです。幼稚園の頃から、誰とも遊ぶことなく、意思疎通が難しく、小学校4年生になると、上手く言葉で伝えられない、勉強について行けない事などでストレスが溜まり、感情を爆発させるようになっていったそうです。小学校5年生頃(10歳:10年前)にご両親が心配して近くの県立病院を受診させ、「発達障害」と診断されたそうです。一年間通院、終診となりました。それ以降、医療機関への受診はしていないとのことでした。

そして25歳になった現在、拒食、過食をくりかえし、祖母以外との意思疎通ができない状態で引きこもり、外出を全て拒否しているとの相談でした。一時間ほどお話をお聞きすると、興奮、暴力、幻覚、意欲減退などが顕著で、発達障害だけでなく、二次障害としてほかの病気がある事を感じました。とにかく、障害年金の前に「診察、治療」が最優先である事をお話し、信頼できる医師をご紹介しました。とにかくすぐに受診をして頂くことを依頼しました。

2.経過

数日後、お父さんから連絡を頂きました。医療機関に連れて行って受診させたそうです。診断結果は、「発達障害」と「統合失調症の疑い」とのことでした。

年金機構では、発達障害児が、後から統合失調症を発症するケースが極めて少ないという事から、前発の「発達障害」と後発の「統合失調症」は別疾病として原則扱われます。この年金機構の取扱では、これから1年6ヶ月経過後でなければ、障害年金を申請できないことになってしまいます。

そこで、当センターでは小学校5年生(10歳時)県立病院にカルテ開示請求を行い「発達障害」と、現在の「統合失調症」との因果関係を調査し、初診日を決めることにしました。

また、開示していただいたカルテを精査してみると、「幻聴、幻覚」に関する記述があり、小学校5年当時から「統合失調症」の病態が表れていたことを探し出しました。信頼できる医師に「発達障害」と「統合失調所」の因果関係について意見を頂き、とそれと同時に過去の社会保険審査会裁決集から同様の判例を探しました。この3つを根拠に、小学校5年生(10歳)時点を初診日として、障害年金を申請する方針に決定し申請いたしました。

◆「受理できません!」社会保険事務所の窓口対応

社会保険事務所(年金機構)窓口では、案の定「発達障害」と「統合失調症」は別疾病なので受理できませんと受取りを拒否されました。受理しない理由は、「マニュアル」に記載されているからの一点張りでした。国民年金法の立法趣旨と、初診日の考え方、専門医の医学的な見解を丁寧に窓口担当者に説明しましたが拒否されるばかりでした。らちが明かないので「申請を受理しない」事について、「根拠法、根拠条文」を明示し、社会保険事務所長名で文書回答するように要求しました。これには根負けしたのか、あまりに正当な要求であると気づいたのか、ようやく受理してもらいました。なんと受理してもらうまで2時間以上もかかってしまいました。

3.結果

障害基礎年金1級、97万5千円を受給する事が決定しました。

4.社労士 齋藤の視点

とにかく、私たち社会保険労務士は、あらゆる可能性のあることをやらなければならないと思います。医療機関へのカルテ開示、専門書の精査、専門医への意見聴取・・・

なぜなら、国民年金・厚生年金法の立法趣旨、障害年金の目的、意義を熟知して最後まで障害者側に立って仕事ができるのは社会保険労務士だけだからです。

社会保険事務所の「受付マニュアル」もどこの社会保険事務所であっても均質な処理を行うためには大切です。しかし、障害年金に関しては、申請する内容について一つとして同じ病歴、受診歴、育成歴、生活環境などはないものです。つまり、マニュアルにはない対応が必ず必要なのです。個別案件がある事と、障害年金の立法趣旨をよく理解したうえで、障害者の利益に反していないか(立法趣旨に反していないか)を窓口の担当者も勉強していただきよく反省していただきたいと思います。

今回の窓口担当者は、最後に「受理だけはしますが、どうせ上に上がったら返却になります。」「こんなに時間がかかるのであれば定時の2時間前には来てください。常識が無さすぎますよ!」と捨てゼリフのような発言をされました。

今回のように、社会保険事務所の窓口担当者が「NO!受理できません!」と言ったら一般の方はそれであきらめるしかないでしょう。

3年前に障害年金専門の社会保険労務士になったころに比べれば多少良くなってきましたが、まだまだ、私の仕事は山のようにあるようです。

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