アスペルガー障害で障害基礎年金2級を受給できたケース

新潟市・20代・女性

1.相談に来られた状況

お母様が来所されました。

お話を伺うと、娘さんは中学生の頃から摂食障害を患っており、高校中退後、現在に至るまで引きこもり生活を送っているとのこと。就労どころか外出が一切できず、「この子が一人で生きていくためにはどうしても障害年金が必要です」と心から障害年金を必要とされていました。お話を伺うと、正常な食事ができないという摂食障害特有の症状に加え、他者とのコミュニケーションが取れないという点が自立を妨げている障害である事がわかりました。「摂食障害」は原則障害年金の認定対象外の障害です。年金事務所、市役所の年金課に何度も相談に行きましたが「「摂食障害」は障害年金の対象外の疾病なのでもらえません。申請しても無理です。」との回答だけだったそうです。

また今まで受診したいくつかの精神科の先生も「この病気では(障害年金は)もらえないし、あなたの娘さん位の症状の患者は他にも沢山いる。もらえたら不公平になるから診断書は書かない。しかも障害年金をもらうと、怠けて治ろうとしなくなる患者が多い。だから書かない。」と言われたそうです。ケースワーカーにも何度も相談し、ケースワーカーの方も最初は力になると言ってくれたそうです。しかし、最後は「病院の医師が決めた事なので、これ以上は何もできない。病院は医師が絶対なので、間違っていたとしてもそれ以上は無理なんです。年金事務所も対象外と言っているのであきらめるしかないのでは。」と見放されたそうです。

私は、日常生活の支障の程度が障害等級に該当している事を確信しました。また、いわゆる摂食障害から連想される症状の範疇を超えていることから、審査請求・再審査請求までを視野に入れ、申請を支援することにしました。

2.経過

病院の受診を極端に嫌がりパニックを起こす為、断続的な受診状態でした。そこでまずは住居に比較的近い新潟市内(約15km)の病院で受診し、医師との関係性を育てながら診断書作成の準備することにしました。病院の主治医はこの病気の権威と言われている人物であると病院側の説明がありました。

しかし患者本人は恐怖心と不信感が強く、受診を嫌がりました。ご家族もこの“権威である医師”の威圧的な態度や物言いに違和感を感じながらも治療の為と思い受診を続けていました。しばらく通院後「どうせ障害年金はもらえないだろうが、1年くらい通院したら、診断書を書いてあげるよ。」と主治医から言われたそうです。お母さんの尽力のもと懸命に通院を続けていました。そろそろ1年が経つと言う頃、主治医から突然「(家から70kmも離れた)長岡市内で開業するので、そちらに通院するように。」と告げられました。診察場所が変わること、病院の場所が遠くなることが病気の彼女とご家族にとってどんなに大変なことか、配慮のない態度にご家族の不信感は募り、この医師にはついて行かないことに決めました。

その後主治医となった女医とは非常に相性がよく、順調に信頼関係を築くことができました。主治医交代から約4か月通院を継続し、その間幼少期のことや学校でのエピソード等、日常生活で機能的な障害、また一人で生活した場合の社会的障害を私達でまとめ、医師への参考資料として提供してきました。そしてできあがった診断書には「摂食障害」に加えて「アスペルガー障害」の記載があり、その診断の理由、就労の困難さ、日常生活への支援の必要性等、詳細に書いてもらうことができました。

3.結果

障害基礎年金2級・年額約78万円の受給が決定しました。

4.社労士 齋藤の視点

いわゆる「神経症圏の病気」神経症、摂食障害などについては、障害年金の対象外と言われています。

しかし、私達 社会保険労務士は最初から「神経症=障害年金対象外」と決めつけてしまってはいけません。お役所である年金事務所や市役所の窓口は、マニュアルどうりに「神経症は対象外です。受給できません。」と回答するでしょう。

また、医師、ケースワーカーなどいわゆる「年金の素人」も同じ答えになるでしょう。しかし憲法25条に定められた目的の為に障害年金という社会保障制度が制定されている背景を鑑みる視点が大切です。疾病名の範囲、認定日の特例、年金機構の取扱通知など申請上の豆知識、ミクロな知識ばかりを専門家の力量であるかのように考えてはダメであるという事です。 全ては立法趣旨、背景、目的をマクロにとらえながら仕事をすることが必要なのです。傷病名の背景にある、相談者の生活状況、状態からプロとして障害の全体像をつかみ、障害年金申請を行わなければなりません。それには、障害者を取り囲む、医療関係者、ケースワーカー、支援学校関係者、ご家族、年金事務所の職員へもっと、もっと障害年金の実情を伝えて、理解してもらう活動が必要だと感じます。

これからも、医療関係者、特別支援学校の先生方、保護者の方々への勉強会を行い周知してゆく活動を続けて行きます。なぜなら障害年金を受給するという事は、その障害者が「人間らしく生活」できる助けになるからです。お金がないと、障害者施設・事業所、医療機関などは全く相手にしてくれません。いくつもそのような悲惨な事例を見ています。必要な支援を、必要な障害者に届けるのが私の仕事であると再確認したご支援でした。

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