中等度知的障害で障害基礎年金2級を受給できたケース

長岡市・男性

1.相談に来られた状況 

「息子は精神障害の為入退院を繰り返しており、このままでは家族がいなくなったら到底一人で生きていけません」と、お母様が相談に来られました。息子さんは小・中学校は普通学級で、勉強の理解が極端に遅いことと、対人関係のトラブル等からお母様が学校に呼び出されることが日常的にあり、手を焼いていたそうです。

中学2年時、不登校になったことをきっかけに、スクールカウンセラーの勧めで病院を受診したところ、「軽度知的障害」と診断されましたが、医師からの指示もなかったので、通院はしませんでした。

ところが成人してから数年後から次々と、問題行動や異常行動(全身の入れ墨やピアス、金銭トラブル、交通事故、暴力的になり壁に穴をあける、物を投げる・壊す、自室に火をつける、物音を異様に気にする、「調子に乗ってるなよ」等の幻聴を聞く)が現れ始めました。とうとう警察に補導され、担当警察官からある精神科の病院を勧められました。受診したところ、「統合失調症」、「中等度知的障害」と診断されました。

2.経過

診断書の作成に非常に苦労しました。一年ほど通院し、担当医師に診断書の作成依頼を行いました。それに対して主治医は「徐々に薬を減らして良くなっている段階なので、もう少し経過を見てから書く、今は書かない。」との回答。一月後、薬の調整等がうまく行かず症状が悪化し、入院することになりました。再度診断書作成依頼を行うと、「今度は、状態があまりにも不安定なので、少し経過を見たい。統合失調症かも少しわからなくなってきた。今は書かない。」との回答。しかし、明らかに彼は、労働能力、日常生活能力ともに皆無の状態となり、周りの家族を含めて疲弊し、国民の権利である、社会保障が必要な状態である事を医師に説明しようやく診断書を作成してもらいました。しかし、作成された診断書は、明かに軽い内容で家族が向き合っている現実とはかけ離れた内容でした。

日常生活の障害状態(日常生活において出ている支障)については事実通りに修正を依頼しましたが、「診断書の内容は、医師が決めることだ。書き直すつもりはない。面倒な事を言うなら出て行ってもらうよ。」と門前払いの対応でした。お母様はこの対応に病院への不信感を募らせ、悩まれていました。この病院はこの地域の中心的な病院で、介護施設、障害者サービス、障害者就労支援サービスなど多くの事業を展開している複合医療サービス施設です。お母様は、医師に嫌われると、今まで利用していた障害者支援サービスや、通所支援サービスも受けられなくなる事を非常に心配されていました。それが受けられなければ、家族の生活が成り立たないからです。

私は、診断書の修正を病院に掛け合いました。そしてお会いしたケースワーカーの方が理解してくれ、病院と医師に働き掛けてくれることになりました。数回打ち合わせを行い、病院側が主治医を変更してくれることになりました。

しかし、新しい主治医が突如体調不良によりしばらく休業することになり、その間は代理で別の医師が担当することになりました。主治医の復帰を待っている時間的余裕はないので、代理の医師に診断書の作成を依頼したところ、「自分は代理なので書けない」。転院を希望すると「もっとせっぱつまらないと紹介状は書けない」。病院と散々やり取りを行い、実際に事実が正確に書かれた診断書が出来上がったのは、最初に診断書を依頼してから約1年後のことでした。申請準備から申請までに約一年半がかかりました。

3.結果

障害基礎年金2級・年額78万円の受給が決定しました。

4.社労士 齋藤の視点

まず、障害者の権利である、障害年金は本当に難しいと改めて思いました。現実の相談者(患者)を見ずに書かれた診断書がいかに多いことか。これで、障害者の権利、生活が守られることはないでしょう。
そして、今回の医師は、病気の先に患者の人間としての生活、それを支える家族の生活がある事を理解すべきでした。「診断書は、医師が決める。私は医療のマスターだ、素人の患者が言ったことをそのまま書くことなどは絶対ない。」、「病院内の事はすべて医師が決める権限がある。」、「医師に社労士が意見するなどはお門違いだ。」「障害年金をもらうことで、病気の治りが悪くなる。もらうと怠け者になるから。」などのこのドクターの意見をお聞きしました。
しかし私は、医師は「職業」であり、「地位や名誉」ではないと私は考えています。ですから、年金の専門家である私たち社労士は、医師に対してプロとして積極的に意見を行ってゆくべきであると考えています。それができなければ、国家試験で認定された社会保険労務士の資格を返却すべきであると考えます。そしてこれまで以上に障害者の権利擁護の為に活動するつもりです。

この病院の入り口に「患者様の権利を守ります。」「地域の方々、関係者とのより良い連携構築」などの医療ステートメントが張り出されていました。患者様や私たち社労士の話を真摯に受け止めていただく病院になって欲しいと切に願います。この医師には深く反省していただきたいと思います。病院側の診断書対応が遅れたために、この相談者の方は、約一年分の障害年金(78万円)を失ってしまいました。権利はあるけれど、権利を行使することが難しいが障害年金です。医療機関の間違った対応、医師の無理解などで権利を侵害されている方は是非ご相談ください。プロとしてできうる限りのご支援をいたします。

最後に、自らの病院内での立場が悪くなることを顧みずに、果敢に病院と医師に意見を言っていただいたケース―ワーカーの皆様本当にご協力ありがとうございました。感謝いたします。

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